ここでは、市販の咳止め薬に配合されている主な成分について、その作用と副作用を解説していきます。市販の咳止め薬は剤型の種類も豊富で、錠剤やカプセル・顆粒・シロップ剤があり、服用できる回数が商品によって異なります。また、咳に効く漢方薬もいくつか販売されていますが、意外に効果が早く出ます。
成分の構成によって適した症状がありますので、出ている症状に合う商品を選ぶようにしましょう。どの商品が合っているか分かりにくいと思います。また、商品によっては眠くなったり、便秘になるなどの副作用が生じますから、商品選びは専門家に相談すると良いですね。
成分について
咳止め薬には、咳を鎮める成分・痰を出しやすくする成分・気管支拡張成分・アレルギーを抑える成分・咳止め効果のある生薬などが配合されています。
中枢性鎮咳成分
延髄にある咳嗽中枢の興奮を鎮めます。
麻薬性鎮咳成分 |
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非麻薬性鎮咳成分 |
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気管支拡張成分
交感神経に作用して、気管支を拡張させて呼吸を楽にします。咳や喘息の症状を鎮めます。
気管支拡張成分 |
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去痰成分
しつこい咳を引き起こす痰を排泄します。
去痰成分 |
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抗炎症成分
咳止め薬以外に、総合風邪薬、鼻炎薬、痔のお薬などにも配合されています。
抗炎症成分 |
【注意事項】 ・トラネキサム酸 |
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抗ヒスタミン成分
風邪薬や鼻炎薬などにも配合されている、主にアレルギーによる症状を鎮める成分です。
抗ヒスタミン成分 |
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生薬
生薬とは、漢方薬を構成するものでもありますが、咳止め薬や総合風邪薬などに配合されていることがあります。
カンゾウ | 有効成分はグリチルリチン酸。喉の痛みや咳を和らげます。 |
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キキョウ・セネガ | 気道の粘液の分泌を増やして、痰を薄めて出しやすくします。 |
キョウニン | 咳中枢の興奮を鎮めて、咳を抑えます。 |
ニンジン | 咳による体力の消耗を防ぎます。 |
ナンテンジツ | 喉の痛みや炎症を抑え、咳を鎮めます。 |
咳に効果のある漢方薬
葛根湯のような、いわゆる漢方の風邪薬ですが、下記は「咳」がある人向けの漢方薬の代表的な処方です。寒気があるかどうかや、痰の粘り、喉の乾燥感など、症状や体質によって選択する処方が変わります。
桔梗湯 | 喉が腫れて痛み、ときに咳がでるものの次の諸症:扁桃炎、扁桃周囲炎。体力にかかわらず使用できます。 |
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小青竜湯 | 体力中等度又はやや虚弱で、うすい水様のたんを伴うせきや鼻水が出るものの次の諸症:気管支炎、気管支ぜんそく、鼻炎、アレルギー性鼻炎、むくみ、感冒、花粉症。 ※体が冷えると鼻水や咳が出る人に。 |
麦門冬湯 | 体力中等度以下で、たんが切れにくく、ときに強くせきこみ、又は咽頭の乾燥感があるものの次の諸症:からぜき、気管支炎、気管支ぜんそく、咽頭炎、しわがれ声。 ※痰がない咳か、痰があるが喉にへばりついた感じで、出しにくい時。 |
麻杏甘石湯 | 体力中等度以上で、せきが出て、ときにのどが渇くものの次の諸症: せき、小児ぜんそく、気管支ぜんそく、気管支炎、感冒、痔の痛み。 ※痰はないが、咳が激しく出る時。 |
五虎湯 | 体力中等度以上で、せきが強くでるものの次の諸症:せき、気管支ぜんそく、気管支炎、小児ぜんそく、感冒、痔の痛み。 ※粘りのある痰、顔が赤らむほど強く咳き込む時に。 |
副作用とは
鼻炎のお薬や風邪薬を飲んで眠くなった経験は、ありませんか?この眠気が、副作用と呼ばれるものです。
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・副作用⇒ 眠くなる、口が渇く、便秘する、胃がムカムカするなど。 |
ご存じの方も多いと思いますが、このように医薬品には作用と副作用があり、副作用のない医薬品はありません。ただ、同じ咳止め薬でも、便秘の副作用がある成分と、そうでない成分がありますし、製品によって副作用は違ってきます。
薬剤師や登録販売者に相談することで、こうしたリスクの回避ができますので、購入の際は専門家に相談してみて下さい。