漢方薬は効き目が出るのが遅い、副作用がない、というイメージをお持ちの方もいらっしゃると思いますが、便秘薬については、効き目がかなりシャープであることが多いんです。
代表的な便秘薬の漢方処方に、大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)や麻子仁丸(ましにんがん)、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)などがありますが、漢方の考え方として、病気だけでなく体の不調を全体的に治していくためにお薬を飲むということがベースにありますので、一般的に、症状だけでなく「体質」や「体力の有無」なども見ながら薬の選択をしていきます。
大黄甘草湯のように、便秘薬として販売されている商品の他に、婦人薬の中にも、効能効果に「便秘」が記載されている処方はたくさんありますし、痔の人に処方される「乙字湯(おつじとう)」もお通じを促す効果があります。
漢方薬では、一つ一つの症状ではなく体全体を整えていくため、たとえば・・・
- 便秘すると吹き出物が出やすい
- 生理痛がひどく、生理前になると便秘になる
- 血圧が高めで、お腹の脂肪(肥満)も気になる
という風に、便秘に付随した症状が複数ある人は、漢方薬の方が適しています。
体質に関係なく飲むことができる大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)
漢方薬は飲む人の体質や体力を考慮して選ぶのですが、実は、大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)は体力がある人もない人も、飲むことができます。飲む人に対する制限がほとんどないので、漢方の便秘薬を飲みたいという人は、一度お試しいただくと良いかもしれません。
ただ、大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)は漢方とはいえ、効き目は意外に強いです。
便秘薬がまったくの初心者の方は、少ない錠数から試してみるといいですね。便秘薬の場合、多くは飲む錠数が「1~3錠」という風に幅を持たせていますので、1錠からスタートすると良いです。
で、それであまり効果が無ければ、次回は2錠、という具合に増やして飲むと良いでしょう。
便秘薬の効き目は、個人差がとても大きいので、人によって効く量が異なります。ただし、決められた量を超えて飲むのは、止めてくださいね。
お薬の重複に注意!
大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)には、ダイオウとカンゾウという生薬が配合されているのですが、市販の風邪薬や胃腸薬の中には、カンゾウを配合した製品が多数あります。
カンゾウは摂り過ぎると体がむくんだり、他にもいろんなリスクを引き起こすことがありますので、市販のお薬と併用して飲まないよう気をつけてくださいね。
高齢者や体力が低下している人の便秘には麻子仁丸(ましにんがん)
大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)は、効き目が強いので頑固な便秘の人などに適しているのですが、高齢者や病後で体力が低下している人には、麻子仁丸(ましにんがん)という漢方薬が適しています。
体力が低下したり、加齢によって腹筋などの筋力が低下すると、腸の運動が弱まることで便の滞留時間が長くなり、便の水分が失われてカチカチのウンチになる傾向がありますが、麻子仁丸(ましにんがん)はこうした便秘に効果があります。
麻子仁丸(ましにんがん)の「麻」は、あの布の麻のことで、麻子仁は麻の実から取れる種なんですね。ですから繊維が豊富で保水力があり、便秘の解消に効果があるというわけです。
他にも、ダイオウやシャクヤクなど、全部で6種類の生薬を配合した処方になっていて、便秘による膨満感や腹痛などを解消していきます。
医師の治療を受けている人は主治医に相談して
ご高齢の方は、食事の量が減る傾向があるんですが、食べる量が減ると便の量も減ってしまうため、どうしてもお通じの回数が少なくなりがちです。また、腹筋などの筋力も低下するため、上手に排便することが出来ずに「スッキリしない」とおっしゃる方も多いです。
お通じの回数が減っても、膨満感や残便感、腹痛などの違和感がなければ、それほど心配は要らないのですが、お腹のハリやガス(おならが臭いなど)などがあると辛いと思います。ドラッグストアで薬剤師や登録販売者に相談してみてください。
また、加齢による便秘の他に、たとえば医薬品の副作用で便秘になることもありますので、持病をお持ちの方や医師の治療を受けている方は、まずはかかりつけの医師に相談してからお薬を飲むことをお勧めします。
昔から使用されてきた便秘薬、センナやアロエ
即効性のある生薬として便秘薬の代表的成分
医薬品としてのセンナは、葉の部分を使用していますが、スーパーなどでも市販されている「センナ茶」はセンナの茎の部分を使用していて、健康茶として昔から飲まれています。茎の部分は医薬品ではないため、「食品」として販売されています。
センナの葉からセンノシドという成分が抽出され、そのセンノシドが下剤として便秘解消に効果があります。センノシドは、たくさんの市販の便秘薬に配合されており、もっともメジャーな成分と言えます。
センノシドの特徴として、非常に即効性があり、かなり頑固な便秘でも速やかに改善することができます。
ただし、漢方の便秘薬だからといって、副作用がないわけではなく、かなり重篤な症状を招くこともありますので、過信は禁物です。副作用についてはこちらのページで詳しく解説していますので、お読みになってくださいね。
アロエは、傷薬としても昔からよく使用されてきましたが、内服薬では下剤として便秘薬に配合されています。大腸内の水分を増やす働きがあり、便秘を改善する効果がありますが、アロエも長期間飲み続けるのは良くありません。
自然由来のものですし、アロエというと健康に良いイメージがありますが、下剤のアロエの場合はセンナと同様、気をつけなければならないことがありますので、使用上の注意等をよく読んでご使用ください。
血圧が高めで、お腹の脂肪が気になる人の便秘にはこちらの漢方薬
漢方の便秘薬の特徴と主な製品
大黄甘草湯や麻子仁丸の他に、アロエやセンナを配合した市販の便秘薬をご紹介します。便秘解消に効果のある漢方薬は他にもたくさんありますが、種類が多すぎるため、ここでは代表的な製品のみを掲載しています。
タケダ漢方便秘薬(武田薬品)
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大正漢方便秘薬(大正製薬)
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皇漢堂漢方便秘薬(皇漢堂製薬)
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山本漢方 センナTS便秘錠(山本漢方)
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コーラックハーブ(大正製薬)
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カイベールアロエプラス(アラクス)
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