ステロイド軟膏に関する疑問
ステロイド軟膏に関する質問や疑問、相談について、よくあるケースをまとめました。医療用と市販薬の違いは、ステロイド軟膏の強さのページでも少し触れていますが、その他にも、ステロイドに関する素朴な疑問や、難しい専門用語について、分かりやすく解説したいと思います。
ドラッグストアで相談の多い事例については、こちらのページで紹介しています。 病院で処方される塗り薬と、市販されている塗り薬のちがいや役割などについてまとめています。
ステロイド軟膏に関する質問・疑問
アンテドラッグとは
お薬が体内に入ると、速やかに吸収・代謝されて、活性が弱くなることで、ステロイドが体に与える負担が少なくなるよう開発されたお薬をいいます。
局所(お薬を塗った部位)では良く効きますが、代謝された後は速やかに体外に排泄されるため、副作用を軽減することができます。ただし、軽減されるのはあくまでも「全身性の副作用」で、局所ではしっかり効果を発揮するため、長期間連用すると副作用が起きやすくなります。アンテドラッグなら副作用がゼロになるわけではないため、用法用量はしっかり守りましょう。
リバウンドとは
ステロイド軟膏の副作用のページでも書きましたが、リバウンドとは、ステロイド軟膏の使用を突然やめた時に、急激に症状が悪化する現象をいいます。リバウンドを防ぐには、徐々に塗る回数を減らすなどして、いきなり使用を止めないことが重要です。
ただ、これは長期間の連用をした場合などに起こりやすい症状で、虫刺されや軽い湿疹などで数日間使用しただけですぐに起こることはほとんどありません。しかし、顔などのデリケートな部位に使用すると、短期間でも起こることがあります。市販のステロイドの塗り薬を自己判断で顔に塗るのはとても危険ですので、避けましょう。
ステロイドを塗ってはいけない皮膚疾患は
水虫・いんきんたむし・カンジタに感染している患部や、帯状疱疹や水疱瘡など、ウィルスに感染することで起きる皮膚疾患、ヒゼンダニが寄生して起こる疥癬には、ステロイド軟膏を使用してはいけません。
ステロイドは、細菌やウィルスに対する抵抗力を低下させるため、病状が悪化します。また、化膿している患部やただれがひどい場合は、安易にステロイドを使用せず、皮膚科を受診しましょう。
「長期間使用しないでください」の長期は何日間?
ステロイド軟膏の「使用上の注意」に、「長期間使用しないでください」という注意事項があります。一般的に、「長期間の使用」とは、1週間以上の使用をいいます。ステロイド軟膏は、皮膚疾患の症状に比較的早く効果を発揮しますので、1週間ほど使用しても効果が得られない場合は、ステロイドが適さない皮膚疾患である可能性があります。
また、お薬の選択が間違っていることもありますので、1週間以上使用しても改善が見られない時は、医師・薬剤師・登録販売者に相談してください。
ステロイド軟膏とプロトピック軟膏の違い
プロトピック軟膏は、ステロイド軟膏と同じように、皮膚の炎症や痒みを鎮めるお薬で、病院で処方される外用薬です。アトピー性皮膚炎などで処方されることが多いお薬です。プロトピックは、ステロイドよりも分子量が大きく、正常な皮膚からは吸収されにくいという性質があります。
バリア機能が低下した皮膚から多く吸収され、炎症を抑える効果があるため、顔などの皮膚が薄い部位に塗っても、炎症のある箇所にだけ効果を発揮します。結果として、副作用の心配が少なく、安心して使えるお薬とされていますが、プロトピック軟膏は少し刺激があり、塗るとチクチクしたり、しみるような痛みを感じることがあります。病院で処方されるお薬ですので、使用法などは医師の指示に従ってください。